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「これは俺の推測でしか無いから、話半分で聞いてくれたらいいけど、どうも感情が昂ると、身体がそれについていけないみたいなんだ。教室で同級生と言い合ってる最中、急に顔色悪くなったかと思えば、飛び出して、そのまま早退ってことが何度かあって。あいつが変わったのって、そういうところも関係してんのかなって」  顔がこわばりそうになるのを必死にこらえた。まさかそこまで考えていたとは。 「だから、どうして樋上には昔みたいに自分から歩み寄っていくんだろうって、ずっと不思議だったんだ。よくつるんでる女子たちと比べても、心を開いてるようだし」  瀬戸は問いかけるような目で見つめてくる。僕は視線を外し、首を横に振った。 「僕に訊かれたってって分からないよ。だいたい、穂村さんは誰に対しても分け隔てなく、話しかけたりする人だと思ってたんだから」 「それはまあ、そうだよな」  ゲームを再開する形で話を切り上げようとしたのを、瀬戸の声が制した。 「話変わるけど、中学のとき、ゲーセンでガラ悪いのに絡まれたことあったろ?」 「……そんなこともあったね」
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