プロローグ

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プロローグ

 一時間くらい泣いていた。  足首に波が寄せては返す感触。八月の海は冷たさを感じない。頭が空白になって、胸に穴があいたよう。ざざーん、ざざーんという波のリズムだけが聞こえる。  遠くを見ていた。  傷ついた時ほど悲しいくらい朝焼けは綺麗に見えて心に染みた。眠れなくて夜明け前に海まで歩いた。  高校生だった頃の私―。
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