🥀赤い薔薇は我君の為に咲く🥀

EP.1：恋愛事情

　私はジェシカ・ブロンド。オックスフォード大学を十六歳で卒業し、今は祖父母宅で料理の勉強をしている。体も心も男ではあるが、私という一人称を使うよう教育され体格も容姿も女性に間違われるほど美しいと言われてきた。その為祖母からは男性として身を粉にする働き方などせず、男性に尽くせる人間になれとの教えを受け今に至る。
　五〇〇年以上前に容姿差別廃止例が制定されていたが大統領が代わり法案改定を試みた結果……なんとこの法律は廃止されてしまった。
　その代わりに、男性で身長平均以下、中性的な顔パーツで女性パーツに近しく体格に恵まれない男性にのみ該当する法案が作られた。それが新法律第一〇四六条、『身長平均以下で体格に恵まれず中性的な立場に生まれた男性は、女性と同じ扱いを受ける対象とし結婚相手を女性のみに絞らない自由な恋愛を容認する。仕事に関しても彼等への扱いは女性と同じとする。尚、性別は中性とするか男性とするかの選択の自由があり通常の男性と同じように働く事を強要してはならない。家庭に入り仕事をしないという選択もまた彼等のみ容認するものとする。尚中性的立場の男性を同じ男として扱った企業や人物に対しては厳罰を下し、五〇年以下の懲役又は一〇〇〇万以下の罰金を命ずるものとする』という法案が可決され、私はこの法に則り祖母に教育を受けているのだ。