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「アレックス……ごめん。私は今君に言われるまで気付かなかったし忘れていた。でも思い出したんだ、あの頃の気持ちとか状況を……。私は今も昔もきっと変わっていない。成長なんて出来ていない。私は君の足手纏いにはなりたくない、けれど君を一番近くで見つめていたいし支えたい。他の人間が君の隣で笑い君に触れる、そんなの嫌だ。もっと嫌なのは、アレックスが私以外に優しくして触れて笑いかけて、その唇を知らない女に預けてしまう事。欲張りだと言われてもいい、私はアレックスに救われた。そんな君を私のものにしたいだなんて言えた口ではないが……私はアレックスを心から尊敬しているし……好きという気持ちが強い。君を! 君を他の人間に渡したくないんだアレックス!」
気付けば私は店という事も忘れ彼に抱き着き安らぎを求めていた。彼の胸に顔を埋めている時にはもう恥ずかしくて堪らなかった。その場には祖父母もいたのだから。
「あっはははは! かわいいなあジェシカ。そんなに熱く俺の事を語ってくれるとは思わなかった。嬉しい予想外だ。そして答えはイエスだ、ジェシカ。俺だって君を他の人に渡したくなんかない。俺の心体は潔白だ、君以外触れたことなんかない。──うん、頃合いだ。ジェシカ、よく聞いて」
そう言われ彼は私の前に跪き赤い小さな箱からダイヤが輝く指輪を見せてくれる。感激で思わず口を手で覆った。
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