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「うわああ、寝坊したあああああ!」  翌日、私はスマートフォンのディスプレイを見て叫んだ。朝八時。完全にやらかしてしまった。今からすぐに学校に行っても一時間四十分かけていたのでは、とうぜん遅刻。それどころか、正規の通学路を通ってもよほど急がなければまにあわない。遅刻しない唯一の可能性は、それだけだった。  私は洗顔もそこそこに制服に着替えて家を飛び出した。数ヶ月ぶりに正規の通学路を走る。数百メートル走った。交差点に到着した。  耳の奥で急ブレーキの音が聞こえる。凶悪なヘッドライトが眼前に広がる。頭が真っ白になる。 「きゃあああああ!」  私は、その場でしゃがみこんでしまった。そして、身動きができないまま、その場でポロポロ涙を流した。一時間以上その場所で泣き、ようやく立ちあがった私はもときた道を戻り、家に帰った。布団をかぶっても身体が震えてしかたがない。そして、私は学校を休んでしまった。  その日の夕方、学校の先生から連絡があった。 「田中、大丈夫か? 体調が悪いのはしかたがないが、あと一日遅刻や欠席があった場合、卒業ができなくなってしまうからな」  完全にリーチがかかってしまった。私は「明日からはちゃんと行きます」とだけ伝えた。  翌日、私は徹夜をして朝六時に家を出た。  さすがに昨日の今日で寝坊するわけにはいかない。寝坊をしないためには、寝ないことが一番だ。フラフラしながら一時間四十分の道のりを歩いて学校に行った。  だが、そんなことをして身体が持つはずがなかった。私はその日は一日、学校で眠っていた。
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