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「これじゃあ、学校にきてる意味ねーじゃねーか」  アキラが露骨に嫌な顔をする。 「そんなこと言っても……」  なんて口にしたところで言葉に詰まった。その通りなのだ。これでは本末転倒。受験に合格し看護師になるなんてことはできない。 「はあ……」  どうすればいいかなんていうのはわかっていた。正規のルートで登校するのが一番いい。しかし、それにはこのパニックを克服しなければいけないのも事実だった。 「よし」  私は背水の陣にのぞむことにした。翌日、朝七時に起きた私は玄関を出た。この時間からでは遠まわりのルートは選べない。遅刻をすれば、私の留年が決定する。そして、その結果、私の子どものころからの夢はついえる。私は、正規の通学路へと足を向けた。数百メートルの道を歩く。遠くにあの交差点が見えてきた。  大丈夫。心に何度も言い聞かせる。足を進める。交差点がさらに近づく。  耳の奥でクラクションが鳴り響く。目のまえに凶悪なヘッドライトの幻覚が広がる。頭が真っ白になる。 「きゃああ……」  私は叫んだ。もうダメだ。本気でそう思った。夢もなにもかも全部あきらめよう。このまま意識を手放してしまえば、どれほどらくだろうか。私は重力に従った。
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