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「これは点滴。栄養を身体に送りこんでいたの。今までずっと食事がとれなかったからね」  ママが説明してくれた。そのうしろから声が聞こえる。 「コナンはもう終わっちゃったけど、おれならここにいるぜ」  声の方を振り向くと、幼馴染が立っていた。茶色く短いツンツン頭。色白で細身。身長は平均くらい。私たちが通う学校の制服を着ていた。 「まったく、おまえが映画館で待ちあわせしようなんて言うから……」  アキラは怒っているというより、あきれている。 「家がとなりなんだから、家のまえで合流して映画に行けばいいって言ったのに『映画館で待ちあわせた方がデートっぽい』なんて言ったんだぞ。その結果がこれか。まったく、おまえの言うことなんて聞かなきゃよかったぜ」  悪態をついているが、安心しているという気持ちが伝わるしゃべり方だった。 「そうよ。アキラくん、ずっとあなたに声をかけ続けてたのよ。さいわい、事故の怪我は大したことがなかったけど、頭を打ったみたいでずっと意識が戻らないんだもん。このまま、ずっと意識が戻らなかったらどうしようって私が言っていたら、アキラくんが『絶対、大丈夫だから』って言って、死にもの狂いで声をかけ続けてくれたのよ」 「え?」  普段、憎まれ口ばかり叩く幼馴染がそんなことを言ってくれていたことにちょっと感動。
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