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たしかに、世界はつねに小競りあいが起こっている。平和になりかけた瞬間、新たな火種が生まれ、戦争が起きる。そして、その裏にはいつも大国の存在があった。
「まさか……」
「この国の場合、大々的に戦争というわけにはいかないからな。代わりにゾンビ化を発症した人間を送りこむことになった。そして、パニックを起こすことでワクチンの必要性を国民に植えつけ、その結果、遺伝子の活性化を促した」
「なんのために」
「そんなの決まっているだろう。この世界を守るためだ。そのために、我々は日々、努力しているのだ」
それがこの国の政治ということだった。大国からの要請で国民を間引く。たしか、現在この国の人口は一億数千万人。その多くを間引けば、世界人口はかぎりなく八十億人に近くなる。これを他の国でも行えば、目標の数字は簡単に達成できるということだ。
「さあ、そういうことだから、きみはおとなしく帰るように。そして、このことを世間に公表しようとは思わないことだ。もしそんなことをしてもなんの意味もないからな」
おそらく、メディアに圧力をかけているのだろう。さらにネットでも公表できないようになっているのはそこが大元だからということも予測がついた。
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