待ち伏せされて告白されて

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待ち伏せされて告白されて

「おい、了!ちょっと待てよ。」 「……カイ先輩」 「どうした?最近、部活来ないじゃん。それにさ、避けてない?俺の事。」  今日は僕がカイ先輩に待ち伏せされた。 「あの、もう部活辞めるんで。あと、先輩とももう、やめる。」 「やめるって何を?」 「だから恋の?レクチャー。」 「なんだよ、突然どうした? だって俺みたいになりたいんだろ?」 「もう、いいです。やめる。」 「なんで?俺なんかした?嫌われるようなこと。」 「はい。嫌いです。」 「え?好き、だったよな?俺の事…。 だから、マジで付き合いたいのかと思ってたのに。」 「ほらね。そうやって昼飯かけてるんでしょ?竹田先輩と。知ってるそんなこと。」 「あ……。」 「先輩の敗けです。今、僕に振られたんだから。残念でした。  お昼奢ってもらえないですね。僕もう好きじゃない。」  悔しくて声が震えた。 「じゃあなんで泣いてんの?」 「え…。」 「なんか涙、出てるし。」 「あ…。」  知らないうちに頬が濡れてた。 「賭けは俺の勝ちだ。泣いてるお前は、俺を好きなんだよな? だからお前は俺を振らない。」 「聞いてましたか?僕、今先輩を振ったのに。」 「だって。俺も好きだもん。お前の事。」 「え?」  急転直下。もう…パニックだ。 「俺たち両想いだから。」 「うそ…。」 「嘘じゃないよ。だからマジで俺たち付き合わない?」 「そうやってまた暇潰しにからかってるんでしょ、僕の事。」  て言うかもう暇潰しでもいいか。  またいつもみたいにからかわれてもいい。  もう、どうしていいかわからない。けど、やっぱり好き。   「了といると飽きないみたい。俺マジだよ。後で竹田にめし奢ってもらうし。賭けは俺の勝ちだから」 「え?」 「今までの恋のレクチャーの成果を見せてよ。」  うわ。どうしよう。先輩の顔が近づいてくる。  ヤバい。今までにない位、ドキドキしてる。  だってこれは練習なんかじゃない。  いま、僕は人生で初めての、本気のキスをしようとしてる。  只野了、いま僕は、パニックの真っ只中だ。  
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