恋愛のレクチャー

1/1
前へ
/11ページ
次へ

恋愛のレクチャー

 モテるようになりたい。  男が男に憧れる。  最初は本当にただそれだけだった。  憧れの先輩みたいになりたかった。  ただ、それだけ。 「じゃあさ。俺がレクチャーしてやるよ。」 「え?」 「恋愛のレクチャー。」  そんなこんなで今、僕はここにいる。カイ先輩は僕の目の前。  僕たちは部活の帰りに一緒に帰るようになった。  モテモテの先輩みたいになりたい。  そんな僕の話に耳を貸してくれた先輩は、僕に彼女が出来るようにレクチャーしてくれる事になった。  着替えてたら先輩の腕が不意に僕の肩に触れた。  ドキドキ。  これだけでこんなに心臓が騒ぐのか。  この煩さに慣れる日が来るんだろうか。このパニックな状況に耐えられる日が来るんだろうか。 「こうやってさりげなくまずはスキンシップからだな。」  恋愛ってやっぱり僕にとってはハードルが高い。 「てかさ。緊張しすぎじゃね? そんなに緊張されたらさ。 なんだか俺に対してマジみたいでこっちが逆に緊張する。」 「すいません。」  はー。なんか。  緊張してるのは本当だ。  だって先輩は練習相手にしては綺麗過ぎるし。  本当にその目で見られたらドキドキする。マジで緊張する。けど。  肩と肩が触れてるだけでなんか。ほっとするような癒されるような。  恋人同士はこんな気分で触れあうのか。  僕にはまだそんな経験すらない。だから練習なんて言って、疑似恋愛みたいなのをしてるだけなのに。  こんなにも気持ちが揺さぶられる。  まだ免疫がないから。  きっとそのせいだ。  この未知で無垢な体が勝手に勘違いしてるだけ。  頭ではわかってるのに。  これはただの練習なんだって。  先輩の退屈凌ぎの暇潰しの遊びなんだって。  もう、隣にいるだけでパニックだ。  
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加