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誤魔化してるのは俺自身
あっという間に達した俺は腕の中でまだ見悶えているマナミに目もくれず被さっていた体を離した。
あいつにわざと見せつけてやった。なんでそんな事した?
わからない。
けど。
見せつけて妬かせたかったのかな。
あいつを拒もうとする気持ちと、受け入れたい気持ちが俺の中で犇めき合ってる。
この俺を何とかしようったって無駄だよ?そう、言ってやりたかった。
だけどもうすでに手遅れかもしれない。
あいつに見つめられる度にそう思う。あんな目で見つめられたら…。
俺はゲイじゃないし、男なんか興味ない。
だからあいつのあの、纏わりつくようなあの視線をなんとか拒もうとした。なのに。
なぜか気になって仕方ないし、見てると構いたくなる。
あいつをからかってやるつもりで最初はあんな風にした。
その時の反応が面白かったから。
だけど。マジで反応してくるから段々それが健気で可愛く見えた。
からかってやってるだけ。
こんなの暇潰しだ。
そう思ってたのに。
キスの練習とかいって、やるふりしたらあいつが思った以上にドキドキしてるのを見たらこっちがマジでドキドキした。
そんな顔みてたらマジでその唇に触れてみたくなった。目の前でパニック起こしてるあいつを見てるこっちの方が軽くパニックだった。
なんだよ、俺。何してんだ?
それを誤魔化すみたいに。
今日もそんなに好きでもないマナミを抱いた。
『練習だよ。』
いつもそうやって俺は自分のこの変な衝動を正当化して誤魔化した。
あいつを誤魔化してるつもりだけど。誤魔化してたのは俺自身だって事くらい気づいてる。
あいつの熟れた木の実みたいな唇に触れたくて仕方なかった。
だからそうでも言わないと身が持たなかった。
平気な顔してるくせにパニック起こしてるのはいつも俺の方だった。
心の中はドキドキしすぎてどうにかなりそうな事なんか、きっとあいつは知らないだろう。
だからこのどうにもならない欲をマナミで処理してる。
うっとりとした顔で俺にもたれ掛かるマナミのその顔が鬱陶しいなんて心の中で思いながら重い体をおこしズボンのファスナーを引き上げた。
やっぱり満たされない。
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