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或る日の朝、私はいつものように目覚めた―筈だった。
だが下半身に妙な違和感を覚えて掛け布団をそっとめくってみると……そこにあったのは、ひとつの卵だった。
私の股間で、柔らかい太腿に守られるように鎮座している其れは、スーパーで買った鶏の卵じゃない。
えっ? これって何の卵? なんでこんなとこにあるの?
もしかして…もしかして、私が産んだの?
まさかと思って鏡を見る。
鏡に映った私はまごう事なく人間の姿をしている。
良かった。
私は一瞬、自分が鳥になってしまったのかと思ったのだ。
けれど、コウノトリが卵を運んで来る筈も無いし、なにより下半身の違和感が、これは私が産んだ卵だと証明しているかのようだった。
でも私は鳥と交尾なんてしていない。
そりゃ鳥は好きだけれど、表を飛んでいる鳥を眺めるくらいで、飼ってさえいない。飼いたい気持ちはずっとあったけれど、”ある事情”があって飼えないのだ。
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