0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
”どうしよう…”
混乱する頭で、”とにかく温めなきゃ…”と思い、卵が割れないように、そっと両手で包むようにして持ち上げた。
親鳥ならば上に乗って、自分の体温で温めるのだろうが、私が乗ったら確実にペシャンコだ。どうしよう…。
もう夏だというのに、私は小型のヒーターを出して、その前にタオルで巣を作り、卵を置いた。
暑い。
冷房を点けたいが、1ルームのこの部屋で冷房を点けたら、ヒーターの意味が無い。
どうしよう…う~ん…。
そうだ、浴室に置けばいいんじゃない?
私は浴室のバスタブの中に卵とヒーターを入れ、蓋をした。我ながらいいアイデアだと思った。
夏場はシャワーで済ませてしまうからバスタブは使わないし、蓋をしておけば、保温効果もバッチリだろう。
ひとまず一件落着。さぁ、仕事に行く支度をしないと…。
そう思って浴室を出ようとすると、バスタブから何故か声がした。
「ピーピーッ、ピーピーッ」
最初のコメントを投稿しよう!