私から産まれた鳥

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”どうしよう…” 混乱する頭で、”とにかく温めなきゃ…”と思い、卵が割れないように、そっと両手で包むようにして持ち上げた。 親鳥ならば上に乗って、自分の体温で温めるのだろうが、私が乗ったら確実にペシャンコだ。どうしよう…。 もう夏だというのに、私は小型のヒーターを出して、その前にタオルで巣を作り、卵を置いた。 暑い。 冷房を点けたいが、1ルームのこの部屋で冷房を点けたら、ヒーターの意味が無い。 どうしよう…う~ん…。 そうだ、浴室に置けばいいんじゃない? 私は浴室のバスタブの中に卵とヒーターを入れ、蓋をした。我ながらいいアイデアだと思った。 夏場はシャワーで済ませてしまうからバスタブは使わないし、蓋をしておけば、保温効果もバッチリだろう。 ひとまず一件落着。さぁ、仕事に行く支度をしないと…。 そう思って浴室を出ようとすると、バスタブから何故か声がした。 「ピーピーッ、ピーピーッ」
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