私から産まれた鳥

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え!? 卵が鳴いてる!? まさか、もう孵化したの!? そう思って蓋を少し開けて見てみたが、卵はそのまま。雛はまだ孵っていない。 どうしよう…。 入社1年目。雑用ばかりで大した仕事はしていない身の上だけど、そうそう仕事を休む訳にはいかない。 しかも「卵を産んでしまったようなので、産休・育休を下さい」なんて言おうものなら、気が変になったと思われる。 けれど卵は、まるで私に「行かないで」とでも訴えているかのように、可愛い声で必死に鳴き続けている。 う~ん、どうしよう…。 考えあぐねた末、私は田舎の親戚の一人に死んでもらう事にした。 勿論、本当に死んだ訳じゃない。よくある”方便”だ。 「はい、はい…済みません…」 そうして私は、会社に電話を掛け、暫く休みを取る事に成功した。 浴室の卵は、私が出掛けない事を察したのか、鳴き止んでいた。 さてと。少し落ち着きを取り戻したところで、私は今の状況を冷静に考える為、冷房を点けた部屋に戻った。
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