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「あいつと付き合ってても全然面白くねーんだよな。陰気でさ」
「あー、分かる分かる」
短大時代に友達に紹介されて付き合ってた男が、別れた後、その友達と話してるのを聞いてしまった事がある。
フォローするでもなく「分かる分かる」って、だったらなんで、そんな私を男に紹介したんだろう。私が『陰キャ』だと広く知らしめたかったのか?
人間のする事は、全く解せない。私も一応、人間なんだけど。
そういう訳で、私の人間不信は歳を取る毎に深くなってゆくばかりで、今は友達もいない。家族とも絶縁状態。職場の付き合いも、仕事以外では何も無い。
たった今私がこの世から消えても、誰も気にする人などいないだろう。
と、浴室から「ピーピーピー」と鳴き声が聞こえた。
様子を見に行くと、卵が少しひび割れて、その亀裂はだんだん大きくなり、やがて内側から、嘴で穴を突いて雛が顔を出した。
桃色の、まだ毛も生えていないツルツルのその雛鳥は、みるみるうちに毛が生え揃い、驚異的な速さで成鳥になってしまった。
「やっと、また会えたね」
「え!?」
何故!? なんで鳥が人間の言葉を!? それとも私が、鳥語を理解できるようになったの!?
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