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「好きです! 付き合ってください!」
「ねえ、その会話今しなくちゃダメ? ここ思いっ切り崖なんだけど!」
この崖から見える景色が素敵だと聞いて、興味本位で来たのはいいものの、俺達は今大ピンチ、まさに崖っぷち!
「今まで気づかなかったけど、先輩ってすごくかっこいいことに今気づいたんです!」
「ねえそれ吊り橋効果かかってない!?」
普段の咲菜なら絶対に言わない言葉だ。
「そんなことないですよ! 先輩かっこいいですよ!」
「命の危機が迫った状況になってから言われてもね!
というかちゃんと手を伸ばして!」
このままだと落ちる!
咲菜は手を引っ込める。え、ちょっと!?
「もう、いいです! 私のことなんてどうでもいいんでしょ! さっさとどっか行っちゃえば!?」
「いやいや、どうでもよかったらこうして助けようとしてないからね!?」
「ということは、私と付き合ってくれるんですね?」
こんな形で答えたくはないが、とにかく助けるためだ。俺は保留の意味も含めて本心を口にする。
「一年経っても気持ちが変わらなかったらね!」
「やった! 約束ですよ!」
言っている間に自力で這い上がってきた咲菜。
「え、何で?」
「うふふ、先輩がなかなか告白してくれないから、ちょっと意地悪しちゃいました」
ペロッと舌を出す咲菜。俺は思わずその手をとった。
「……付き合う?」
すると咲菜は手を優しく手を振りほどくと立ち上がって少し歩く。そして、ちょっと離れたところから振り向き様にいたずらっぽい笑みを浮かべると、俺のさっきの言葉を再現した。
「一年経っても気持ちが変わらなかったらね?」
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