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わがまま王女の婚約破棄(3)
ローデール王国を守る将軍の娘であるジリアンは、第1王女アネットと同じ年に生まれ、同じ髪、同じ目の色をしていた。
背格好もよく似ていたジリアンは、幼い頃は王女の遊び相手、そして学友に、成長してからは騎士となるべく訓練を重ね、王女の護衛騎士に、さらには影武者となり、王女に仕えてきた。
公爵家の令息であるウィリアム・ディーンもまた、アネットの学友に選ばれた1人で、アネット、ジリアン、ウィリアムの3人は幼なじみとして多くの時間を過ごしてきた仲だったのだ。
今でも、3人で会えば、アネット、ジル、ウィル、とお互いに呼び合うくらい、気の置けない関係だと思っていたのに。
ジリアンは黙ってウィリアムに腕を引かれて、王宮の回廊を歩きながら考えていた。
そして思い出す。
学友仲間には、もう1人、隣国から留学していたジークフリートもいた。
ジークフリートは、隣国の第2王子だったが、アネットとウィリアムの婚約後、突然、母国へ帰国してしまったのだった。
* * *
ぱたん、と閉まった扉の向こうに、ウィリアムとジリアンの姿が消えた。
2人の姿を見送ったアネットは心の中でそっとつぶやく。
(ひどいと思うなら、ウィリアムを幸せにしてあげて)
(わたくしは、もう少しの間、『わがまま王女』らしくいなければいけない)
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