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16歳の少年、カヤマシンジロウは、初恋のパニックを全身で感じていた。彼の目の前にはクラスメートのオクカワサクラ。明るい笑顔と長い髪が印象的な少女だ。彼女に話しかけようとするたびに、シンジロウの心臓はまるでロックドラムのように高鳴った。
シンジロウは緊張を抑えながら、一歩前に出た。しかしその瞬間、手に汗がにじみ、顔は赤くなり始めた。言葉を発しようとしても、喉が乾いてうまく声が出ない。
静寂が流れた。
「こ、こんにちは、オクカワさん」と、シンジロウは声を振り絞った。しかし次の瞬間、口が勝手に動き、思わぬ言葉が飛び出した。「改めて。僕の名前は、カヤマシンジロウでぷ」
その言葉でシンジロウの顔はさらに真っ赤になった。サクラは驚いた顔をした後、笑いをこらえる顔になった。シンジロウはその場から逃げ出したくなったが、足がすくんで動けなかった。
シンジロウは混乱したまま立ち尽くしていた。自己嫌悪の波が押し寄せ、必死に平静を装おうとしたが、心の中は台風のようだった。
「大丈夫?」
サクラが一歩近づいて優しく問いかけた。その声に、シンジロウは少しだけ勇気を取り戻した。「うん、大丈夫」と、震える声で答えた。
サクラは微笑みを浮かべた。「よかった。声をかけられたとき、なんだろう? と思ったけど、自己紹介だったんだね」
その言葉にシンジロウは平静を取り戻しつつあった。「そうなんだ。自己紹介なんだ」
サクラは頷き、シンジロウの目をまっすぐ見つめた。
「うん、じゃあ私も改めまして。オクカワサクラです。サクラって呼んでくれていいよ」
シンジロウの顔は再び赤くなり、今度は嬉しさがこみ上げてきた。「うん! サクラさん。サクラって呼びゅね!」
その瞬間、シンジロウに初恋の緊張が再び戻り、サクラは声を出して笑った。パニックは、当分終わらないのであった。
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