希望の光

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私は事故の後遺症で感情の色が靄のように視えるようになったことを話すことにした。 自分の感情の色は黒にしか視えない事も。 それで気味悪がられるなら付き纏われることもないだろうし、話しても問題ないと思えた。 運ばれてきたチョコパフェのてっぺんに乗った、着色されたさくらんぼのわざとらしい赤を端に避けて、真っ白なソフトクリームをスプーンに掬う。 ぽつぽつと話しながら口に運ぶと、チョコレートソースのラインがクリームの白を濁らせて、見苦しくなってゆく。 けれど彩生さんの周りの色は話を終えても鮮やかなまま、濁らない好意を示していた。 ほうと大きく息をつくと、彼女は夢見るように呟く。 「すごいね、虹花ちゃんの見てる世界はあたし達には見えない色が溢れてるんだ。その感情の色って、濃かったり薄かったりして、あの絵みたいに浮いてるんでしょ? ホントに色とりどりなんだね。この辺に私の色、見える?」 ぱっぱっと頭の上辺りを手で探るけれど、そこに色は無い。 「もう少し右のあたりに黄色、下に薄いオレンジ、黄緑が左側に視えます。興味津々なんですね」 羨ましいほどはっきりと綺麗な感情の色は、興味と強い憧れ……私が同じ感情を持っても黒にしか見えないのに、彩生さんのふわふわの靄はゼリービーンズみたいなかわいい色だ。 やっぱり私はあの時死んだんじゃないかな。 だからどんな感情を持っても、全部黒い死者の色なんじゃないだろうか。 「だってさ、あの絵みたいに見えるんでしょ。あたしも虹花ちゃんの見る世界、見てみたいな。キレイだろうなぁ」 痛む胸に突き刺さったのは、そんな言葉。 生き生きとした色の彼女には、死んだような感情の色を持つ私の気持ちはわからない。
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