希望の光

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なんだかんだと勢いに押され、引き摺るように連れてこられたファミレスは、森林公園の出口のすぐ隣。 テーブルを挟んだ謎の専門学校生の満足そうな様子を見ながら、私はわざとらしくため息をついた。 「これって誘拐じゃないですか」 「ええっ! そうなの!? じゃああたし誘拐犯!?」 どうやら自覚はないらしいが、未成年者を勝手に連れ回せばそういう事になるだろう。 青系の色がふわふわと舞い、本気で戸惑っているのがわかる。 既にパフェは注文されてしまったし、私はもう一度ため息をついて訊ねた。 「で、何を話せば良いんですか? 私、絵の技法とか特別なことは何もわかりませんよ」 こんな時、感情の色が見えるのは便利といえば便利だ。 少なくとも相手に悪意がないことがわかる。 そもそも彼女はものすごく素直な人のようで、感情の色がはっきりしている。 ほら、今も共感性の高い喜びの色が見えた。 「そっか。じゃあまずは虹花ちゃんのこと教えてよ」 「名前も名乗らない人にそんな事言われても……」 驚きの水色がぱっと広がると、彼女の白いTシャツは爽やかな夏の空みたいに見えた。 「うわ、ヤバい。ごめん! つい嬉しくなっちゃって色々すっ飛ばしてる。あたしは山本 彩生(やまもと いろは)。彩るに生むって書いていろはって読むの。いろはって呼んで。駅前の専学でデザインの勉強してます。で、虹花ちゃんのファンね」 「それ、恥ずかしいからやめてください」 「えー、推させてくれたって良いじゃん」 口では不満そうな声を出しながらも、どこか嬉しそうな色が見える。 名前の通り、次々に鮮やかな彩りを生み出す人だ。 私は自分の周りの黒一色の感情とそれを見比べて、複雑な気分になる。
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