4つ目:起業してみた(その1)

1/1
前へ
/25ページ
次へ

4つ目:起業してみた(その1)

--<評価>--------------- 難易度:高(運と時間が必要) メリット:自己満足 デメリット:疲れる --------------------------- 今月の6月18日、知人の会社が上場した。 私が最初の会社を設立したのが今から17年前。私の会社とその会社の設立日が数日違いだった。 なので、上場のニュースを見てちょっと嬉しかった。 だから、今回は起業について書いてみようと思う。 起業を考えている人が見たら、少しは参考になるかもしれない。 興味の無い人は本話を飛ばしてほしい。 ところで、私の話(オジサンの武勇伝)を書くと読む人がイライラしそうだ。 だから、一般的な話や他社の話を前提に、偏見をもたずに書くことにする。 私は仕事柄、数百社、数千社に関わっている。 会社設立のとき(起業)に関わることもあるし、会社を清算するときに関わることもある。「ゆりかごから墓場まで」のような職業だ。 さて、これが起業する人に意識してほしいことだ。 【起業するときは〇〇〇を決めておかないといけない】 〇〇〇に入るのは「辞め時」だ。 会社を設立するときに清算することを考えておけ、とは縁起が悪いかもしれない。 ただ、これには理由がある。 ここでは以下の2点について書こうと思う。 1.会社が成功するかどうかは運である 2.会社が成功するには時間が掛かる まず、1点目から説明しよう。 1.会社が成功するかどうかは運である ここでの話はあくまで私の意見だ。主観の部分が強いので、「そうじゃない!」と思う人もいるかもしれない。ご了承いただきたい。 会社を設立してから1年後にその会社が存続している(休眠状態ではなく営業を継続している状態)は約30%だ。 3年後になると約10%になる。 つまり、10社に1社しか残らない。 会社が存続しない理由は幾つかある。たとえば、 ・思ったよりも業績が伸びない ・役職員が辞めていく ・取り分で揉めて仲間割れする ・従業員がお金を持ち逃げする 純粋に事業が失敗して清算するケースはそんなに多くない。 起業には不確定要素が多い。何がネックになるか分からない。 実際に、私は起業して1年で仲間割れして分裂した。 起業する人は夢や希望に溢れている。そして、「これは絶対に売れるはず!」とか「僕なら成功するはず!」と考えている。 しかし、重要な点を見逃している。 まず、神様でもなければ未来を予想することはできない。勘のいい人でも成功率は70%くらいだろう。 「これは絶対に売れるはず!」とか「僕なら成功するはず!」はやってみないと分からない。 例として、パン屋を始めた人の話をしよう。 その人は某有名パン屋さんで修行し、技術を習得したパン職人だった。 某有名パン屋さんの中でもかなりの腕前で、「私の焼くパンはどこよりも美味しい!」と自信を持っていた。 そして、このクオリティのパンを提供するパン屋は「成功するはず!」と信じていた。 でも、失敗した。 失敗した理由はなんだろうか? 他のパン屋さんも美味しいからだ。 自信のないパン職人は独立(起業)しない。 まず、これを考えてみてほしい。 ――自信の無い人は起業するだろうか? 起業する人はそれなりの腕前、スキルを有している。 社内で「この人は仕事ができる!」、「この人は優秀だ!」と言われていた人が起業する。熟練のパン職人が起業(お店を出店する)するイメージだ。 ※もちろん、そうでない場合もある。 つまり、既に存在する会社は、仕事ができる人、優秀な人が作った会社だ。 起業すると、優秀な人が溢れている市場に参入することになる。 その中で生き残れるのは以下のどちらかだ。 ・とんでもなく仕事ができる人 ・運のいい人 「とんでもなく仕事ができる人」の起業家は稀だ。数が少ない。 大多数の起業家の優秀さのレベルは変わらない。みんな同じくらい優秀だ。 仕事ができて当然、その中で生き残るのは「運のいい人」ということになる。 つまり、会社の成功に必要なのは「運」だ。 「良いサービスなんだけどなー」という起業家は多い。 でも、考えてほしい。 その会社のサービスもいいけど、他社のサービスも良いのだ。 両者のサービスの差が分かる消費者はいない。 『3月のライオン』で山崎順慶五段の有名なセリフがある。こんなセリフだ。 ------------------------------------------ 「信じれば夢は叶う」それは多分 本当だ 但し 一文が抜けている「信じて努力を続ければ夢を叶う」——これが 正解だ。 さらに言えば 信じて「他のライバルよりも1時間長く毎日努力を続ければ ある程度迄の夢は、かなりの確率で」叶う——だ -------------------------------------------- これは会社経営に似ている。 ・優秀な人が起業する ・優秀な人は他社に勝つために努力する ・優秀な人は成功することを信じて努力する そして、成功するのは「かなりの確率」ではなく「それなりの確率」だ。 だから、運が重要になる。 会社が成功するかどうかは運しだいということだ。 <つづく>
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加