フライトコール

12/62

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
「だよね。さっき飛んでる時、チリンって音がした。それにしてもカッコよかったなぁ、カモを獲った瞬間。空のハンターって感じで。あれじゃロックオンされた獲物はひと溜まりもないもないよ。でも、あれだね。珍しいよね、鷹のペットって」 「銀はペットじゃないです」 「……違うの?」 「鷹は、ペットとして飼うべき生き物ではありません」  少女の声色が鋭くなった。  理由は分からないが、ひどく気に障ったらしい。 「銀って言う名前なんだね。カッコいいな」  さりげなく話題を逸らしてみる。 「おじいちゃんが付けたんです。銀はおじいちゃんの形見だから」 「ああ、そうなんだ。おじいちゃんが亡くなって、それを引き継いで君が飼ってるんだ。偉いね。でも、何がきっかけでおじいさんは鷹をペットに――」 「ペットではありません」 「ごめん!」 「私のおじいちゃんは、鷹匠(たかじょう)でした」 「たかじょう?」 「鷹と共に、狩りをします」 「ああ……。ああ、それで! さっきのあれも、狩りだったの?」  瞬時にいろいろ合点が行った。 「じゃ、その鷹を使ってカモを獲ってたんだ。それって、君も鷹匠ってこと? すごいな、実際にそう言うの見たの初めてだよ俺。なんか感動」  祐介は思わず興奮気味に言ったが、少女からは何の返事も返って来なかった。  またなにか、機嫌を損ねる事を言っただろうか。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加