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「だよね。さっき飛んでる時、チリンって音がした。それにしてもカッコよかったなぁ、カモを獲った瞬間。空のハンターって感じで。あれじゃロックオンされた獲物はひと溜まりもないもないよ。でも、あれだね。珍しいよね、鷹のペットって」
「銀はペットじゃないです」
「……違うの?」
「鷹は、ペットとして飼うべき生き物ではありません」
少女の声色が鋭くなった。
理由は分からないが、ひどく気に障ったらしい。
「銀って言う名前なんだね。カッコいいな」
さりげなく話題を逸らしてみる。
「おじいちゃんが付けたんです。銀はおじいちゃんの形見だから」
「ああ、そうなんだ。おじいちゃんが亡くなって、それを引き継いで君が飼ってるんだ。偉いね。でも、何がきっかけでおじいさんは鷹をペットに――」
「ペットではありません」
「ごめん!」
「私のおじいちゃんは、鷹匠でした」
「たかじょう?」
「鷹と共に、狩りをします」
「ああ……。ああ、それで! さっきのあれも、狩りだったの?」
瞬時にいろいろ合点が行った。
「じゃ、その鷹を使ってカモを獲ってたんだ。それって、君も鷹匠ってこと? すごいな、実際にそう言うの見たの初めてだよ俺。なんか感動」
祐介は思わず興奮気味に言ったが、少女からは何の返事も返って来なかった。
またなにか、機嫌を損ねる事を言っただろうか。
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