フライトコール

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「いや、実はさ、さっき究極に腹減ってて、何年か前に食べた激ウマの鴨鍋思い出してさ」   とりあえずまた、話題を変えてみた。 「そしたら目の前に、朱色っていうか、赤茶色っていうか、そんな色の首のカモがぷかぷか浮かんでて、旨そうだな、なんてバカみたいなこと思っちゃって」 「ヒドリガモです」 「あ、そんな名前なんだ。……で、そんなことぼんやり思ってたら、この銀ちゃんが颯爽と別の小さいカモ追っかけて来て、俺の目の前でバシッと捕まえて、めちゃくちゃ痺れたんだよ。カッケ―って」 「ミスでした」 「……え?」 「あの場所で飛ばすべきじゃなかった」 「あ……でも、テグスのせいであって、それさえなけりゃ、見事なハンティングだったはずでしょ」 「私のミスなんです」  少女は静かに、けれどきっぱり言い切った。  理解できなかったが、彼女がそう言うなら、そうなのだろう。  祐介はそれ以上続けるのをやめた。
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