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怒り心頭で祐介は川上を睨みつける。けれど、その目が捉えたのは予想外なものだった。
一羽の小ぶりなカモが飛んでくる。そしてそのカモを、カラスよりひと回り大きな鳥が猛スピードで追ってくるのだ。
近づくにつれてはっきりした。
鷹だ。
懸命に飛翔するカモの軌道をなぞりながら、鷹は迫っていく。
まさに祐介のちょうど目の前で、鷹はカモに追いついた。
絡み合うように二羽は中空で半回転する。
チリンチリン。
鷹の羽ばたきに合わせて軽い音がした。
――鈴の音?
気を取られた次の瞬間には、もうすべて終わっていた。
鷹は獲物をその足にしっかりと掴んでいたのだ。
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