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祐介は身を乗り出すが、暴れる鷹は地面を蹴り、そのまま川の中に転がり落ちてしまった。白っぽい腹を上にして、流されていく。
考えるより早く背中の荷物を投げ出し、祐介は川に飛び降りた。
水深は幸い、腿のあたりまでしかなかった。氷のように冷たい水の中を進み、鷹の尾の部分をぐっと掴み引き寄せる。
すっかり気が動転しているらしい鷹は鋭いくちばしと爪で抵抗して来るが、ここで離すつもりはなかった。
バランスを崩して何度も水の中にひっくり返りそうになりつつ、それでもなんとか両方の翼をがっちりと掴み、必死で岸まで上がった。
「痛いって! 噛むな。じっとしてろって」
抵抗して来る鷹を叱りながら強引に押さえつけ、それでも、羽根と首を痛めないように注意しながら、テグスを外していく。
鷹が暴れるたびに、さっき聞いたのと同じ鈴の音がチリンチリンと鳴る。
尾の付け根辺りに、小さな板と鈴が結わえ付けられていた。
野生の鷹ではないらしい。
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