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「おはよう、朱莉さん。あれ元気ないです?」
机にバッグを置いて、PCを開いていると声が聞こえて振り返った。
同じ部署の水野優希は、私の営業アシスタントをしてくれている一つ年下の後輩だ。付き合いも長いこともあり、デスクに着くや否や私の顔を見て問いかける。152㎝という小さな身長で、かわいらしい優希ちゃんだが、性格はサバサバとしていて裏表がない性格は付き合いやすい。
「おはよう、まあ。うん」
「その言い方、またあの彼氏何がなにかしたんですか? いい加減に別れた方がいいですってば」
なにもしないからとは言えず、適当に笑って見せる。レスにもなり会話もなくなったころから、優希ちゃんは別れた方がいいと言ってくれていた。
「まあ、ね。でもまだ可能性はあるかもしれないしね」
「可能性ってなんですか? あろうがなかろうが一緒にいても時間の無駄ですよ」
呆れたように言う優希ちゃんの言いたいことは百も承知だ。本当は自分でもわかっている。このまま付き合って万が一結婚したところで、本当にそれが幸せになれる確率なんて本当に低いだろう。でも……。
一緒に住んでしまった今、お互い家を出るのも、新しい生活もするにもつき合う時よりパワーがいるのも事実でこうなっているわけで。
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