ZERO

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「終わった……」 二時間後、ようやく終わって時計を見ると、もう二十一時になろうとしていた。真木もちょうど終わったようで、私にデータを送ってくれていた。 「真木、本当に助かった。ありがとう」 深々と頭を下げたと同時に私のお腹がグーっとなる。 「お前……」 「だって仕方がないじゃない、朝もいろいろあって食べてなかったし、忙しかったし」 恥ずかしくなり顔が熱くなるのがわかる。言い訳を並べている私の横で、真木が立ち上がる。 「飯奢れ」 クスっと笑いながら言う真木に、私は「仕方がないな」と答えた。 「一度、俺自分のところ戻るから、十分後に下で」 「わかった」 憎まれ口ばかり言っているが、真木と話すときは、スラスラと言葉が出て気を使わなくてよくて助かる。 正直、家に帰ってひとりで空っぽの冷蔵庫を考えると、また食べたくなくなりそうだったし、それも身体に悪い気がしていた。 お礼という名目なら、男性と二人で食事に行っても問題ないだろうし……。 そこまで考えて私は小さく息を吐く。浩二は私が誰かと二人でどこに行こうが、もはや気にするわけはない。 やましいこともないのに、社内の男性ですら仕事以外は二人にならないようにとしていた自分がバカらしくなる。 バッグを持って化粧室に寄り、鏡を見ると確かに薄っすらクマもできていて、疲れた顔をしている気がする。 酷い顔……。 こんな女と一緒では真木に申し訳ない気がして、簡単にメイクを直して下へと向かう。
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