ZERO

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外に出ると一気にむわっとした空気が肌を撫でて、おくれ毛が首筋に張り付く。着ていた薄手のカーディガンを脱ごうと思ったが、なんとなくいつもと違う真木に、恥ずかしい気がして手を止めた。 「何食べたい?」 「うーん、なんでもいいけど」 本当に思いつかなくてそう言うと、真木は私を見下ろした。 「バカな進藤は朝も食べてないのか?」 「あー、うん。まあ、家の冷蔵庫が空っぽだったから」 それは嘘ではないが、本当でもない。冷蔵庫に何もないのはいつものことで、普段なら何かを買ったり、カフェで取ったりしている。 「じゃあ、あまり重くないものがいいな」 私を気遣ってくれる真木が、やはり別人のような気もしてしまう。いや、昔も気を使える人だった? 同期の集まりで一度だけ隣に座った時、酔っていた私を介抱して、彼氏の愚痴を聞いてくれたことを思い出す。 あの時も、私は彼氏のことで頭がいっぱいで、きちんと真木にお礼をしたのだろうか。
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