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「気を付けて帰れよ」
その言葉と同時に真木は私のうなじに張り付いていた髪に触れた。
髪を触った時、一瞬首筋に触れた真木の指に、身体がビクっと揺れた。
「ッ」
漏れそうになった声を耐えて、そこを無意識に手で押さえていた。
「またな」
次の瞬間そこには、いつもの意地悪そうな瞳があった。
何かが変わったわけではない、何も変わっていない。
「うん、また明日」
真木の後姿にそう伝えると、何も言わずに真木は夜の街に消えて行った。
ーー別れよう。
私はそう決意して、駅へと歩き始めた。
これから先のことはわからないけど、誰かを好きになって愛されたい。
そう思った。
ZERO End.
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