4人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺の目は、全てを黒に映すんだ。だから、君の色が分からない。」
俺は、今日、初めて会った彼に何を言っているんだ。
今まで誰も信じてくれなかった。
きっと、彼も同じ。
なのに、俺は何を期待しているんだ。
懲りない自分に呆れる。
だが、そんな俺の考えとは裏腹に、彼は言った。
「そうなんですか!あなたが見てる世界は、僕とは全く違うんだろうな。」
彼は何を言っているんだ?
俺の言葉を信じたってことか?
俺の話に目を輝かせているのか?
彼の瞳の色が知りたい。
この時ほど、黒しか見えない自分を悔やんだことはない。
そして、俺はなんとか言葉を絞り出した。
「君は俺の言ったことを信じるのか?」
「はい。あなたの目は嘘を言っているようには見えませんから。」
「変わった人だ。」
「よく言われます。」
俺と彼は微笑み合った。
こんなにも誰かと話すのはいつぶりだろう。
そして、彼は言った。
「明日も会えますか?」
「……多分。」
「あなたが来てくれるまで、この場所で待っています。」
「どうして?」
俺は彼に問いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!