黒の世界

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「俺の目は、全てを黒に映すんだ。だから、君の色が分からない。」 俺は、今日、初めて会った彼に何を言っているんだ。 今まで誰も信じてくれなかった。 きっと、彼も同じ。 なのに、俺は何を期待しているんだ。 懲りない自分に呆れる。 だが、そんな俺の考えとは裏腹に、彼は言った。 「そうなんですか!あなたが見てる世界は、僕とは全く違うんだろうな。」 彼は何を言っているんだ? 俺の言葉を信じたってことか? 俺の話に目を輝かせているのか? 彼の瞳の色が知りたい。 この時ほど、黒しか見えない自分を悔やんだことはない。 そして、俺はなんとか言葉を絞り出した。 「君は俺の言ったことを信じるのか?」 「はい。あなたの目は嘘を言っているようには見えませんから。」 「変わった人だ。」 「よく言われます。」 俺と彼は微笑み合った。 こんなにも誰かと話すのはいつぶりだろう。 そして、彼は言った。 「明日も会えますか?」 「……多分。」 「あなたが来てくれるまで、この場所で待っています。」 「どうして?」 俺は彼に問いかけた。
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