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「其の思い、此の私が受け止めまするぞ!此の私めが、紫電様がいらっしゃる迄お供致します……!」
「此の私も。治安維持部隊へは、幼馴染みが現役でして……多少の声は聞いて貰えるかと……!」
円陣にて、二名が名乗り出てくれた。其の心意気へ縁は感謝を告げ、いざと。
辿り着いた訓練施設。其の門を潜るに、難は無かった。と言うのも縁自身自覚有る無しはともかく、隊内で縁は既に名が通って居る。例の視察初日から、時代遅れな奥方がやって来たと皆様々に好奇心が湧いたらしく。密やかに、其の再訪を待って居たのだ。只、奥方歓迎と言うよりは物見遊山に近いやも知れないが。
「――大体の案内は、紫電様より伺って居られますか?」
両側より、縁を守る様に歩みを進める家臣。其の一人が訊ねると。
「ええ。本日は、武器等を見せて頂けたらと……!」
目を輝かせる縁の目的である、武器庫の視察。家臣は、其の眼差しに微笑ましさを感じ苦笑い。年もあってか、息子と居る様な感覚になって。
「成る程。では、武器の管理をして居る処へ参りましょう」
案内されたのは、以前紫電より軽く紹介されただけの武器の保管庫。縁は、其の前に立ち更に目が輝く。西に居る時も、武器に関する書を密やかに収集して居た程。用途、扱い、手入れ等。西にも軍があるので、実物が揃うて居るものの立場上そう頻繁に通う事も出来ずで。
徐ろに其の扉が開かれると、中には武器の管理や手入れ、修繕を担当する隊員が頭を下げた。
「此れは、奥方様!大志(タイシ)殿、琢磨(タクマ)殿も、御疲れ様に御座います」
改まる隊員へ、縁は其の隊員の肩へ軽く触れ顔を上げる様に促した。そして、次は己が頭を下げて。
「突然御邪魔致して申し訳無い。私は、縁と父より名を賜った者に御座いまする」
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