抗えぬ現実。

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「私の力等、大したものでは無いさ。元より隊員の方々は、紫電や帝への思いで部隊へ残ったのだからな。決断をするに、離れる仲間が居る中で隊員方も悩み苦しんだろう……だが其れでも、其の思いが最も強くあったからこそだ。其の絆には、何れ程努力しようと私は届かぬ」  そうだ。今居る隊員達は、其の絆一つで此処に居た。信じられるものが、守るべきものがまだ此処にあると。縁には、其れが何れ程大きく重いものかが分かっている。縁自身も、西の民や家臣達と築いたものと同じなのだから。そして、己も其れを誇らしく思って居るからこそ。 「私は、東の民として東を守りたい。紫電と共にな」  笑顔でそう告げた縁。微笑む紫電は、其の身を抱き寄せ唇を塞ぐ。ぬくもりを分かち合い、其の思いを今一度確かめる口付け。唇のみ触れ合うだけの其れが、徐ろに離される。熱を帯びる紫電の眼差しに、縁は胸を鳴らし恥じらい勝り視線を反らしてしまって。紫電は、そんな縁の耳元へ唇を寄せて。 「そんな顔をされては、触れずには居れません」  低くも切ない声。其処に感じる、己を求める熱い思い。 「っ……、し、紫電は、やはり狡いぞ……」  此れが、無自覚で出来てしまうのだから。そんな瞳で見詰め、そんな声で囁かれては。縁は、染まる顔をも背けてしまう。そんな縁のいじらしい姿へ、紫電も囚われ煽られるだけで。背けられた縁の顔を、己へと向けて再び塞ぐ唇。今度は、唇だけで熱を味わうだけでは足らなくて。 「ん……っ、はぁ、ん……っ」  熱を奪い合うかの如く求め、貪る口付け。縁は、紫電の首へと腕を回して。
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