お茶派の私は、ブラックコーヒーが苦手だった

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「ピピピピピ………」 事務所内にアラーム音が響き渡る。 「ちょっと休憩しようか」 課長の一言で、社員全員がパソコンから目を逸らす。 大きく深呼吸する者も入れば、目薬をさして目を閉じる者もいた。 時刻は午後3時、私の勤め先は昼休憩とは別に、この時間にも休憩をとっている。 「仕事に根をつめるな」と言う理由で、社長自ら提案されたものだ。 時間は15分と短いけれど、社員全員がこの休憩を喜んでおり、それぞれが有意義に使っている。 私は給湯コーナーへ足を運ぶ。 そこは社員にとって憩いの場となっている。 給湯コーナーなので、電子コンロとシンクがあるのはもちろんのこと、その隣には電子レンジと電子ポットが完備されている。 室内は広く、四人用テーブルとその椅子が3組あり、自動販売機も設置されている。 給湯コーナーと言うより、ラウンジと言うイメージが強い。 いつもは昼休憩で混み合うけれど、3時からの休憩時間は短いためか、人はまばらである。 私はそこでおかきを食べながら、温かいお茶を飲む。 「美味しい」 気持ちが落ち着くのか、思わずそう口ずさんでしまう。 それが私の日課となっていた。 ただ、いつも落ち着けるわけでもなかった。
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