【プロット】森の旅人

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薄暗い路地裏。 ネオンの光が乱反射する雑居ビルの前で、黒衣の男は煙草を燻らせていた。 彼の名は黒木蓮。 裏社会では名の知れた探偵だ。 常に冷静沈着だが、何を考えているのか分からない。 「黒木さん、またこんなところで何してるんですか?」 聞き慣れた声が背後から聞こえた。 振り向くと、石田剛刑事が立っていた。 苛立った顔で、黒木を見据えている。 「石田刑事、こんばんは。  ちょっとした調査ですよ」 黒木は煙草を地面に落とし、踏み消した。 「また裏社会の仕事か?  俺にも教えろよ」 石田は前のめりに言ったが、黒木は首を横に振った。 「今回は、関係のない事件だ。  危険な橋を渡る必要はありません」 石田の眉尻がピクリと動き、頬が引きつった。 「よお、勿体つけるなよ」 挑戦的な態度で食い下がるが、黒木は表情を変えず、ただ静かに見返すだけだった。 黒木は、とある資産家の失踪事件の調査を依頼されていた。 行方不明になったのは、財界の大物、山岡龍之介。 事件性はないと判断した警察は捜査をしなかった。 だが山岡の家族は何かを隠しているように感じ、黒木に調査を依頼したのだ。 黒木は、山岡の自宅を調査し、書斎で奇妙な紋章を発見する。 それは、古代の魔術書に記されていた、異世界への扉を開くための鍵だった。 まさか、山岡は異世界に迷い込んでしまったのか。 黒木は、半信半疑ながらも、紋章を手に取り、書斎の壁に手を触れた。 すると、壁が溶けるように消え、眩い光に包まれた。 気がつくと、見たこともない場所に立っていた。 そこは、緑豊かな森が広がり、空には二つの月が浮かんでいる。 まるで、ファンタジーの世界に迷い込んだようだった。 森を彷徨い、そこで出会った妖精から、山岡が魔王に捕らえられたことを知る。 魔王は、山岡の持つ莫大な富と権力を利用し、この世界を支配しようと企んでいたのだ。 黒木は、妖精の協力を得て、魔王の城へと向かう。 城内には、様々な罠や魔物が待ち受けていたが、それらを突破していく。 そして、ついに、魔王との対決を迎える。 魔王は、強力な魔法を操り、黒木を追い詰めた。 しかし、黒木は、持ち前の洞察力と推理力で、魔王の魔法の弱点を見抜き、見事に打ち破る。 そして、山岡を救出し、共に元の世界へと戻った。 事件解決後、黒木は石田に、今回の奇妙な事件について報告する。 石田は目を丸くして驚くが、黒木の話を信じ、共に異世界への扉を封印した。
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