【プロット】黒い闇夜

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漆黒の闇に包まれた深夜の住宅街。 街灯の光も届かない一角に、ひっそりと佇む黒い家。 その家の前には、黒塗りの車が一台。 車から降り立ったのは、黒いスーツに身を包んだ男。 顔には深い影が落ち、表情を読み取ることはできない。 男は音もなく黒い家へと歩を進める。 木製の巨大な扉の蝶番(ちょうつがい)(きし)む音と共に玄関が姿を現していく。 男は黒い靴で静かに踏み入った。 家の中は、月の光だけが差し込み薄暗かった。 壁には得体の知れない絵画が飾られ、重苦しい空気が漂う。 男は黒い革張りのソファで足を組み、深く息を吐いた。 彼の名は黒崎玲司。 「黒の死神」と呼ばれる凄腕の殺し屋である。 玲司は、依頼人の情報が書かれた黒い封筒を開封する。 今回のターゲットは、この黒い家に住む男。 裏社会の大物で、数々の悪事を働いてきた男だ。 玲司は立ち上がり、黒い手袋をはめた。 そして、音もなく廊下を進んでいく。 彼の立ち姿は、まるで闇に溶け込むかのようだった。 ターゲットの部屋の前で、立ち止まった。 そして、ドアノブに手をかけた。 次の瞬間、部屋の明かりが点き、銃口をはっきりと視界に捉えた。 ターゲットはベッドの横に立ち、口角をわずかに上げた。 「よく来たな、黒の死神。 殺しに来たんだろう」 玲司は、ターゲットを見据えた。 「ああ、そうだ。 お前を地獄へ送ってやろう」 二つの黒い影が、静寂の中で対峙した。 皮膚が渇き、神経が張りつめる。 銃声が鳴り響いた。 呻き声とともに、棒のように床に倒れた男は、それきり動かなくなった。 黒い夏は、まだ始まったばかりだった。
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