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 翌日、“両国王”――ナビカの父と少年の叔父とは和気あいあいと狩りに出かけていった。  そんなことは予定にはなかったらしいが、よほど馬が合ったのか。馬や道具を貸し出してやり、父は“マルダク王”とその従者を連れ出していった。  ナビカは少年の姿を王宮の中に探そうとしたが、日中にひとりで自由に使える時間など彼女にはなかった。そうでなくとも、「秘せられた王」たるジクサに会うのは困難であったかもしれない。  その日の晩餐にて、ナビカはジクサの叔父とあらためて顔を合わせた。どぎつい茜色を身にまとうナビカの父と異なり、慎ましやかな藍の装束で全身を固めた彼は、夜に生まれた王族なのだろう。落ち着いたその色がよく似合う気品にあふれた男で、とうてい偽の王のようには見えない。  ……しかし。 「私には、きょうだいも子もありませんからね。世継ぎをどうするかは頭の痛い課題ですよ。マルダクの次代は、おそらく直系から遠く離れることになるでしょう。まったく、先細りの国ですよ」  そう言って曰くありげな笑みを浮かべるのを見たとき、一癖ありそうなのは確かだとナビカは思った。
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