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「師匠たちからいろいろと聞いているんで。この邸宅の情報は、全部頭の中に入っていると思いますよ」
……けど、それはちょっと言いすぎ。
庭師よりも、侍女のほうがずっと邸宅の事情には詳しい。……と、思う。
「さすがにそれは言い過ぎです。私たち侍女のほうが、ずっと詳しく知っています」
たとえば、ご令息であるリッカルドさまのこと……とか。
なんて、言い合っても意味なんてないので、私は深くは反論しない。アルロイさんも、そこは知っているらしい。頷くだけだ。
「それは、そうかもですね。女性の情報網は怖い。……身をもって、知っていますよ」
……しかし、彼のその言葉の意味が、よくわからない。
身をもって知っているって、どういうこと、なのだろうか。
(なんて、私が考えたところで意味なんてないわ。私たちは同僚の関係だもの)
私のほうがずっと前からこのおうちに仕えているけれど、立場は一緒。……いや、私のほうが少し上なのかな?
と、どうでもいいことを考えていると。アルロイさんは、倉庫からいくつかの道具を取り出して、「行きましょうか」と私に声をかけてくれる。慌てて頷いて、彼の後に続く。
……身長があまり高くない私に比べて、彼の身長はとっても高くて。
なんだか、負けたような気がしたのは、気のせいじゃないだろう。
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