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1.プロローグ
「かくして勇者は悪の魔王を倒し、世界を救いました。村に戻った勇者は英雄として崇められ、仲間たちと幸せに暮らしましたとさ」
幼い頃、母さんが僕に読んでくれた絵本。今でも僕はあの絵本の中に登場する勇者が大好きで、僕にとって憧れの存在だった。僕もあの勇者みたいに誰よりも強く、優しく、正義感のある人間になりたい、そう思っていた。
「僕も勇者さんみたいになれるかな?」
「ええ、陽翔はとびきり優しい子だもの。きっと勇者さんみたいになれるわ」
母さんの温かい手が幼い僕の頭を優しく撫でてくれた。今でもあの温もりを僕は覚えている。
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