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 ……。  …………。  ………………。  呆けた表情でモニターに向かっているローグ。  決してぼんやりと時間を潰しているわけでないけど、動きの少ない冗長な作業では気の抜けた顔になることも多いようだ。 「ねむ……」  深夜まで同じことをしていれば、それはまあ飽きもするし眠気も強い。  武器の作り方とか探っていたかと思えば、隣のタブでは生物の習性とか調べている。狩猟をするとかそういう意図でもない、兵器に関連するワードで検索をかけているような痕跡もあった。  上昇海流の原因が、本当に何か特異な生物の仕業だったとして。  じゃあそれをローグ一人で打ち倒せるかと言うと別にそんなことはなく。 「魔物みたいなもんがいるんなら見てみたいけどな」  伝承で聴いたり本に書かれているような化物、人の居ない時代の地球でないと見られないだろうものでしかなくて。  例えば恐竜のような巨大な爬虫類も、その時の地球が今とは段違いに温暖な環境だった故に生まれたものだ。  あいつら成長限界とかないから、環境と気候が揃っていれば際限なくでかくなっていくんだよなと以前に誰かから聞いていたのを思い出した。  ローグにはその古い生物が今でも生きていたなら、とか先祖帰りのようなものだったら、とか考えるけど。どうしたところで生きていけない。  適合できない環境で、ついていけなくて死んでしまう。 「適応できることだけが良いことだとは思わんけどね」  実感のある言葉が漏れる。あまり零れることのない本音だった。  それにしても、と足元を見遣る。  ラツィリが作った猫の張りぼてがくるくると歩いているが、普段よりも落ち着きがない。床に触れている足から、いつもと違う振動が届いているのも不思議だった。  真夜中に作業をするから、と普段はかなり控えめにしているとは言っていたが、それをできなくなることでもあるのだろうか。  鈍くなってきた頭でそれ以上考えることも難しく。  這いずるような動きでベッドに潜り込んだ。
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