第15話:クリス王太子からの誘い

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「エリアナが移動販売を始めた時、異物混入騒動を起こすよう指示したのは殿下ですよね? そのようなことをしておいて、しかも側妃の打診とは……少々虫が良すぎませんか?」 「カイ殿」 「カイ様……」  突然バルコニーに入ってきたカイ様が、静かに、でも怒気を含んだ挑発的な言い方でクリス様に話しかけた。 「それは証拠があっての発言か? 場合によっては王家に対する不敬になるが」 「もちろん証拠もあるが……クリス殿の発言もこちらに対する不敬ではないか? 私はマリン帝国の皇太子、カイル・フェザーだからな」 「なっ……マリン帝国の皇太子だと!?」 「それに、エリアナは私の婚約者だ。彼女の父上にも婚約の了承は得ている。私の婚約者にそのような物言いをしないで欲しい」 「婚約者、だと……?」  まさかの婚約者発言に呆気に取られていると、カイ様は私の手を取った。 「さぁ、私のお姫様。あまりヤキモチを妬かせないでほしい。二人で話そう」 「は、はい」  呆然とするクリス様をその場に残し、私たちはひと足先に宿泊している別の宿に戻った。戻るまでの間、カイ様にぎゅっと手を握られたままーー。 ***
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