第19話:命に替えても

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 カイ様がこれまで何度も、言葉と態度で愛情を伝えてくれていた。次は私が返していきたい。もうその想いに一切の揺らぎがなかった。  カイ様がお父様への手紙に『自分の命に替えてでも守る』と書いてくれたように、私もカイ様に対して同じように思っていた。 ーーコンコンッ 「はい」 「エリアナ、入るぞ」  ガチャっと扉を開けたのは、クリス様だった。後ろにアンジェロ様もついて来ている。 「ずっと側で座っているのも疲れただろう?」 「いえ、全く。私がしたくてしておりますから」  クリス様なりの気遣いなのかもしれないが、私は本当に『疲れた』と思っていない。ただただ、カイ様の側で、無事を祈っているだけだ。 「エリアナと少し話がしたい。ここはアンジェロに変わってもらっても良いか? 必要であれば、治癒魔法も施してもらおう」 「……分かりました。伺いますね。アンジェロ様、宜しくお願いします」 「はい、お任せください」  アンジェロ様に一礼し、私はカイ様が眠る部屋から退室した。クリス様の後に付いていき、応接室のような部屋に入った。  向かい合わせになり、それぞれソファに座る。 「クリス様、お話というのは?」 「あぁ、まずマリアのことだが。彼女は目覚めた後、自分の抱える心の闇に向き合った。今まで見て見ぬふりをしていた、と私に溢した」 「……そうだったのですね」 「この世界で生きていくために私との婚約も了承したが、本当に好きなのはアンジェロであることも明かしてくれた」 「……まぁ! それで、どうなったのですか?」
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