第20話:大切な存在

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「いえ、謝る必要はありませんよ。誰しもが黒い感情を持っていると思います」 「エリアナ様も? 黒い感情を持つことはあるのですか?」 「えぇ、いつも清廉潔白という訳ではないです。あと、私もマリア様に謝らなければならないことがあります」 「え!? 何ですか??」 「実は……以前、臨時で採用された侍女の『オフィーリア』という者にお会いしたことがありますよね? あれ、実は私なのです。ちなみに一緒にいた侍女も、変装をしたケイティです」  近くにいたケイティも、ニコニコしながらマリア様を見る。 「えぇぇぇぇ!? 全っ然気が付きませんでした! でも、どうして潜入のようなことをされたんですか?」 「それは……」  乙女ゲームの話はケイティに聞こえないよう、声のトーンを落として話す。 「それは、あまりにも乙女ゲームのシナリオと違う展開だったので、何が起きているのか調査するためです。嫌な思いをさせていたら申し訳ございません」 「いえ、嫌ではないのですが……驚きました。あのオフィーリアさんがエリアナ様だったなんて」 「はい。これでお互い隠し事は無しですよね? おあいこ、ということで。本当の意味での『友達』になれたら嬉しいですわ!」 「エリアナ様……」  目元が赤くなるマリア様を見て、ふふと笑みが溢れてしまう。隠し事がなくなって、私も心が軽くなったような気分だった。  でも、他にもマリア様には聞きたいことが沢山ある。ズイッと身を乗り出して、「それで!」と切り出した。 「は、はい?」 「マリア様は、元の世界に戻るのですか? あと、アンジェロ様の件もお尋ねしたいです!」
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