第3話:街の人にもお裾分け

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 カイ様の素性は詳しく知らなかったけれど、貴族であること以外の情報を話さない点を踏まえると、これ以上根掘り葉掘り聞かない方が良さそうだ。  私達は引き続き、食事と歓談を楽しんだ。皆でご飯を食べ終わる頃には、私はセカンドライフの新しい目標を見つけていた。 「私、いつか自分で飲食店を開きたいです……! こんなに皆さんに喜んで頂けて、笑顔を見れてとても幸せです。  あ、でもその前に。色んな国を旅して、その土地の食材や料理を食べて、もっと食について勉強したいです」  公爵家の娘ということもあり、今は定期的にお金を渡されている。でも、もう魔法学園を卒業した私は良い大人だ。  これからは自分の力で生計を立てていきたいし、出来ることで人の役に立ちたい。  「貴族の令嬢が自分で経営をするなんて……」と一般的には白い目で見られるかもしれない。それでも、この想いを止めることはできなかった。  そんな私の想いに対して、最初に反応してくれたのはまたしてもカイ様だった。 「それは良い考えだね。こんなに美味しいご飯が毎日食べられるなら、人も沢山集まるだろうし。キアラ王国の食文化も発展するに違いない。  旅に出るのも良いけれど……マリン帝国に是非来てもらいたいね。ちなみに、今日作ったもの以外のメニュー案はあるのかい?」 「はい! 他にも作りたいものは沢山あります! 明日から早速練習していこうかと思います。婚約破棄されて時間を持て余していますし」
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