第3話:街の人にもお裾分け

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「パンにチーズやハム、トマト、レタスを挟んだサンドイッチも良いですし、果物を使ったパンもありますね。  パンに限らず、焼き菓子やクッキーでも良いですし、朝食用に食パンやフランスパンのようなものも良いですね……あ、ごめんなさい一人の世界に入っておりました」 「いや、良いんだよ。エリアナから突拍子もないアイデアが出ると思うと、とても楽しみだね。  力仕事は手伝うから、指示してほしい。今日は一日仕事を休みにしたから」 「まぁ、せっかくの休みなのに宜しいのですか?」 「あぁ、エリアナと一緒にいるととても楽しいからね」 (そういうことをさらっと言ってしまう方なのね。私じゃなかったら勘違いしてしまいそうだわ!)  にこりと微笑むカイ様の顔を見て、魔法学園時代に多くのファンがいたことを思い出す。  カイ様は濃いグレーの髪色に、目の色は薄く青みがかっていて、身長も高く引き締まった体つきから、学園にいる令嬢達が「異国の王子様みたい……」とよく騒いでいた。  カイ様は誰かと群れることなくいつもアンディと一緒にいたこともあって、令嬢達も積極的にアピールするというより陰ながらその姿を拝んでいたのだった。  反対に、王太子のクリス様は誰に対しても愛想良く振る舞っていたし、やはり王太子ということもあってか令嬢達からも人気があった。  『私という婚約者がいながら……!』とヤキモキしていたが、今となっては何とも思っていない。
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