第4話:広がる幸せ、忍び寄る影

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「そうか……マリン帝国まで影響が拡大する前に、何とかしたいな。  それにしても、この国の国王や王太子は何をやってるんだ? 聖女を召喚したというのに何も改善していないとは」 「王宮の方も情報収集しておりますが、恐らくカイ様が予想している通りかと」 「あぁ、召喚した者が聖女ではない、ということだろう? その可能性は濃厚だろうな」  フーッとため息をつく。キアラ王国の瘴気の影響がマリン帝国にも波及する恐れがあり、その調査のため留学終了後も滞在期間を延長していた。  もしマリン帝国まで影響が及べば、それこそ国際問題に発展してしまう。  マリン帝国にも聖女はいるのだが、他の国でも効果があるかと言うとそういう訳でもなく、ましてや国唯一の存在となると、そう簡単には「はい、どうぞ」とは出来ないのだ。  聖女は政治的な切り札としても、利用されてしまっている。 「カイ様、本当にマリン帝国に戻らなくて大丈夫なのですか? 私が滞在して都度報告するでも構いませんが……今は帝国の方が安全かと」 「何を言う。エリアナを危ない目に遭わせるなんて、もっての外だ。それに、私がいない間に他の男と婚約でもしたら……あぁ、そうなったら私は一生お前を恨むだろうな」 「カイ様……実は愛が重いタイプなのですね……。というか、まだ恋人の仲になっていないのですか?」 「なっ…! 私だって、すぐにでもエリアナと恋人らしいことをしたいんだ! 今はまだ距離を詰めている最中で……」
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