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「あぁ、不安にさせるようで申し訳ないんだが……この辺りで魔獣が出没していたらしく、急いで帰ってきたんだ」
「「えぇ!?!」」
「こんな街中にまで降りてきているのですか?」
「そうなんだ、今回は火属性の魔獣のようだから、何かあったら私が君達を守るよ。安心してほしい」
「そうなのですね……ありがとうございます、カイ様」
さすがの私も、魔獣と直接戦ったことはないし、魔力が切れた時に接近戦となれば、剣を扱うことも出来ない。カイ様がいてくれて、安心した。
『お父様にお願いして公爵家の護衛を連れてきてもらった方が良いかしら?』なんて頭を過ったけれど、そんなことをしたらすぐに公爵家に連れ戻されてしまう……。
(突然魔獣が襲ってくることなんて無いでしょうし、大丈夫!ここはカイ様に甘えてしまおう!)
***
その後、3人でチーズフォンデュを楽しんだ後は、畑仕事で疲れたこともあり早めに自室に戻った。
そこで、ふとシャワールーム隣の脱衣スペースに、薄手のストールを忘れてきたことを思い出した。
(今なら誰もいないだろうし、取りに行っちゃおうっと)
脱衣スペースのある部屋の扉を『ガチャッ』と開けた時だった。
「あれ、エリアナ? どうしたんだ?」
「キャァッ!! カ、カイ様……!?!」
シャワーを浴びたばかりのカイ様と、ばっちり目が合ってしまう。
(ま、待って、は、裸!?)
あまりにも突然のことで気が動転し、手で目を覆い隠してしまう。つい指の隙間から、カイ様が腰にタオルを巻いていることだけは確認してしまった。
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