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「ご、ごめんなさい、もう誰もいないと思って! カーディガンを!取りに!」
「あぁ、これのことかな?」
近くに置いてあったカーディガンをカイ様が取りに行き、私の様子を見て「フッ」と笑みを溢した。そして、カーディガンを持って近づいてくる。
「あの、すみません、また後で……」
「エリアナ、はいどうぞ」
「あ、ありがとうございます……」
見上げると、ニヤリと笑うカイ様の顔が目の前にあった。心臓が飛び出るかと思うくらい驚いて、私は完全に固まってしまう。
「エリアナ、顔が真っ赤。可愛い」
「へっ…? かわいい……??」
「そうだ、エリアナにはこれも渡しておくね」
カーディガンを持つ手とは反対の手で、魔石のついたネックレスを見せられた。
「これは何ですか? 魔道具ですよね?」
「そう、エリアナに危険なことがあった時、これを少し握りしめてもらえば、私の指輪の色が変わるようになっている。少し会話もできるよ」
(何これ、前世で言うところのスマホみたいな!? す、すごい……)
驚いていると、カイ様に肩を掴まれクルッと後向きにさせられた。
「え!? カイ様?」
「ネックレス、早速つけて欲しい。エリアナに何かあっては困るから」
「は、はい……」
カイ様の体温がとても近くに感じられて、心臓の音が耳の真横で聞こえるかのように、ドクドクと激しく脈打っていた。
「あの、ありがとうございます」
「今日はゆっくり休むんだよ? おやすみ」
「は、はい……おやすみなさい……」
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