第9話:回想 sideカイ

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「あぁ、エリアナ嬢が私のパートナーだったらな」 「カイ様、エリアナ様はクリス王太子の婚約者ですし、それはなかなか……」 「もちろん分かっている。私が出来るのは、今こうやって彼女を眺めるだけだ。帝国に帰ったら、散々見合い話を用意して待っているんだろうな。父上は」   ハァ、とため息が溢れてしまう。でも、仕方のないことだ。無理やり奪うことは彼女も喜ばないだろう。  そう思って1年過ごしてきたのに、まさか、あの王太子が婚約破棄をするなんてーー。 「アンディ、神様は私に味方してくれたと思わないか?」 「えぇ、このようなことがあり得るのですね。この後はどうされるのですか?」  クリス王太子の婚約破棄宣言の後、私達はエリアナがどのような行動に出るか伺っていた。どうやら、王都の外れの街・グラニットに侍女と二人で行くというのだから驚いた。 (彼女もまさかあっさり身を引くとは思わなかったな……王太子妃教育は大変だったろうに。どういう心境の変化だろう? クリス殿には既に愛想をつかせていたのか?)  彼女にアプローチしようと、グラニットまで着いてきてしまった。  魔法学園卒業と同時に、マリン帝国に戻らなければならないのだが……魔獣や瘴気の影響を調べると、最もらしい理由をつけて出来る限り残ることにした。  全てはエリアナを皇太子妃に迎えるためだ。失敗は許されない……。
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