第9話:回想 sideカイ

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 グラニットに着いてからのエリアナの行動は、本当に面白かった。食堂でご飯を食べた後に、料理をするために市場に行くと言い出して。家の前に行くと良い匂いが漂っていて、堪らずドアをノックしてしまっていた。  パンを売り始め、王太子からの突然の横やりもあったが、彼女は毅然とした態度で立ち向かっていた。  シャワーを浴びた直後にばったり鉢合わせた時は、顔を真っ赤にしていてつい自分の腕の中に閉じ込めたくなってしまった。  なんて可愛らしいんだろう。  でも、抱きしめなかった自分を褒めてやりたい。 (あの時のエリアナは、本当に可愛かったな。あの日を境に、『元同級生』ではなく『男性』として意識してもらえたような気がする)  流石に魔獣と対峙しているのを見た時は血の気が引いたが……。事前に通信用の魔道具を渡しておいて、本当に良かった。 (追放されて惨めな気持ちになるどころか、どこまでも前向きに、人生を切り開いている。危なかっしい所もあるが、彼女は何て素敵な人なんだろう)  私は想いが募るばかりだった。  なぜ、あんなに美味しいものを作れるんだろう? とか、  なぜ、卒業パーティーを境に人が変わったようになったんだろう? とか、  疑問に思うことは沢山あるが……考えても分からないことは、気にしても仕方がない。  この先も、彼女が何の憂いもなく笑っていられるよう、私が守りたいと決意を新たにした。 ***
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