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やがて成長した私たちは自然と一緒にいなくなった。同じマンションだけど登下校も別。仲違いしたわけじゃなく、お互いにちゃんと気の合う友達を見つけた結果、私はクラスの派手なグループに、瑠奈は控えめなグループに入った感じ。
しかし気が合うはずのそのグループで私はいじめられた。
理由はわからない。ていうかあったところでそんなことは関係ない。いじめなんてやる奴が100%悪いんだから。
六年の秋、私は昨日まで普通に話していた子たちに突然無視された。遠くでクスクス笑われ、近づこうとすると「うざ」と背を向けられる。そんな私を瑠奈は助けてくれたのだ。
何年もまともに喋っていなかったのに、休み時間になると声をかけ、教室移動があれば誘ってくれた。みんないじめっ子が怖くて逆らえなかったのに、瑠奈だけが私に手を差し伸べてくれた。
「でもそのせいで瑠奈は次のターゲットになっちゃったんです」
「にゃんと」
「私、瑠奈を助けられなかった。またグループからハブられるのが怖くて。いじめっ子と同じグループにいるけど私は瑠奈をいじめてないし、立場ってもんがあるのは瑠奈もわかってくれるよね、とか。私より仲の良い瑠奈のグループの子が助けるべきじゃん、とか。瑠奈は中学受験するし、どうせそっち行くんだから少しの間だけ我慢すればいい、とか。言い訳ばっかりして」
「にゃーん」
「結局、卒業まで瑠奈はいじめられたままでした。瑠奈の家が引越したのもあってそれ以来私たちは会ってません。だから謝れてもいない。最低ですよね」
「うーむ、これは、にゃかにゃか」
にゃかにゃか?「なかなか」ってことか。
なかなか、どうなんだろう。やっぱり最低ってことかな。それはそれでちょっと傷つく。自分から言っておいてなんだけど。
そんな気持ちをしってかしらずか、あいかわらず痛む鼻を揉む私に猫が訳知り顔にうなずいた。
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